人間の成長の根本となる概念は古今東西の別なく、「修己治人」である。己を修める事で初めて人を治めることができるという孔子哲学の基本的思想だ。自分をコントロールできぬものが果たして人をコントロールなどできようか。そもそも人をコントロールできると思っていること自体が間違っている。人は変えることも出来ないしコントロールすることなどましてやできない。

「絶えず自分の経験と知恵を磨き様々な知識を修めて高い徳を持ち、心を高めて初めて世の中をよく治めることができる」という孔子の教えはまさに転換期を迎えた現代を生きる我々に深い叡智を与えてくれる。

まずは己を修めることから始める。決して他者に褒められるために努力をするわけではない。他人の評価に一喜一憂せず自分をいかに磨き高めていくかが大事である。

効率よく、仕事を遂行し、生産性をあげていくリーダーがこれまでの時代は良しとされてきた。しかし、これからは、人格者、人の心を正しく導ける人が組織やチームの上に立つことになるだろう。つまり、うまく稼げる人より、人の心を治められる人がこれからの世の中で求められる。仕事の能力が高い、知識が豊富、技術が優れている、というのは素晴らしいことだが、そのことと人間の評価がまったく違う次元で理解される、という時代がもう来ているのだ。